改算式から加算式への持分算定方法の変更について
当組合では、これまで改算式持分算定方法を採用していたが、このたび加算式持分算定方法に変更したいと考えている。その場合、どのような点に留意すべきかご教示願いたい。
加算式持分算定方法を採用する場合の留意点について説明する。
1.加算式持分算定方法の採用の意義
加算式持分算定方法は、従来から改算式持分算定方法を採用している資産保有組合において、①土地等の含み資産又は内部留保が大きいため、持分調整金としての加入金の額が増大し、その結果新規加入が阻害されるような場合、あるいは、②組合への加入年数(組合員歴)や事業利用による貢献を持分に反映させようとする場合に適する持分算定方法であることに、まず留意する必要がある。
したがって、加算式持分算定方法は、持分の払戻し方法が、全額払戻し又は多額の一部払戻し方法(帳簿価額以上の額を限度とする払戻し方法)である場合に意味があり、少額の一部払戻し方法(例えば、出資額限度方式や出資額以上であるが帳簿価額に満たない額を限度とする払戻し方法)である場合には、採用の意味は少ないと考えられる。
また、持分の払戻し方法が一部払戻しの組合で、加算式持分算定方法を採用する場合には、定款に規定される、持分の算定の内容と持分の一部払戻しの内容とは当然異なることになる(持分計算額よりも一部払戻し額の方が少ない)ので、持分の払戻しの際、組合員に誤解をされないよう注意を要する。
2.加算式持分算定方法の採用の手続
まず、既存組合の加算式持分算定方法の採用の決定は、通常の定款変更の議決方法(特別議決)で足りるものと解される。
改算式から加算式に持分算定方法を変更する組合においては、加算式方法採用時の既存組合員の持分は、各持分構成資産について各組合員の出資額により算定することとなる。
3.組合財産の評価
組合財産のうち,帳簿価額と時価が異なる資産については、時価(一括譲渡価額)評価する必要がある。その評価方法は、①対象となる資産ごとに明確に定めておくこと、、②客観性があり、かつ、計算が容易であることが必要である。
組合財産の評価に大きく影響する土地の評価方法は、様々な方法が考えられるが、一般に妥当と思われる方法としては次のものがあげられる。
ア.固定資産税評価額倍率方式
通常の固定資産税評価額を時価の○○%程度とみて、固定資産税評価額を○○%で除して時価に評価還元する方法
イ.相続税評価額倍率方式
通常の相続税評価額を時価の○○%程度とみて、相続税評価額を○○%で除して時価に評価還元する方法
ウ.不動産鑑定士による評価方式
不動産鑑定士にその評価を依頼する方法。この場合は、1人の鑑定士のみによる評価では不十分であり、通常5人の鑑定士に依頼し、これらの評価額のうち最高値と最低値を切り捨て、中3値の平均値をとる方法が適当である。
なお、含み資産の評価方法については、規約又は総会の議決によって定めておくことが必要である。