協業組合の法人組合員が解散する場合の対応について
甲製品の製造・販売を行う協業組合の組合員であるA株式会社が解散の意向を示している。A株式会社は、協業時から甲製品の製造・販売事業しか行っておらず、現在、法人の役員・従業員は、組合のそれぞれ役員・従業員となっている。現在でも法人は、名ばかりの存在であり、組合にとっても、仮に法人が解散しても何ら支障がないように思えるが、どのように対応したらよいか。
協業組合は、組合員となる事業者が、従来営んでいた事業の一部又は全部を協業(統合)することによって、企業規模の適正化、技術水準の向上、経営管理の近代化等を推進することにより、生産性の向上等を図ろうとする組織である。この意味では、法人間の合併と同様な効果をあげることができるが、法人間の合併によって達成される「事業の統合」が、法人の解散を前提とするのに対し、協業組合による協業化は、複数の事業者の事業活動を一本化し、これを「協同して経営する」ことを意味しており、「協同して経営」して行く以上、加入事業者の法人格は、消滅させることができない。法人格の消滅は協同経営の主体がなくなることを意味するから、法人の解散は、協業組合においては法定脱退事由(中団法第5条の23)となっており,A株式会社が解散するならば、組合は脱退の手続きをとらなければならないことになる。ただ、このような場合を救済するための措置として、中団法第5条の13では、解散法人の代表権を有している役員が組合の承諾を前提にその法人が有している組合員たる権利義務を包括的に承継できることとなっている。つまり、法人組合員が、解散時にその法人を代表する役員であった者の1人に持分払戻請求権を譲渡し、かつ、その者が、組合に対して加入の申し出をした場合は、加入資格を取得することとなる。この申し出を受けて組合は、総会の議決(特別議決)により、加入を承諾することができる。この承諾を得た場合、解散法人から持分の譲渡を受けたその役員は、解散した法人の有していた組合に対する権利義務を承継することとなる。お尋ねの場合は、このような方法で対応することもできる。